modern simple refined T50

iriverの新製品ラッシュが続く。
ハイスペックで動画も楽しめるX20,Clix2。
外付けマイクに対応し、録音派からの要望を受け、パワーアップして再販されることになったF700.

そしてそれらにはさまれるように、ひっそりと登場したのがこのT50だ。

T50はT10の後継機種として登場したが、スペック的にも、操作性、GUI的にも違いはほとんどない。
もともとはC10という名前を冠しており、1GBモデルのみで、どちらかというと、単三電池タイプの廉価モデルを作ったら、
結局T10レベルのものはできてしまったといったところだろうか。
初心者向けや、サブ機といった位置づけで考えたほうがよいだろう。

伝統のプリズムスタイル

単三電池タイプのiriverプレーヤーというのは、とても歴史の長いもので、iriver初のフラッシュメモリモデルのiFP-100シリーズから始まる。
入手、交換が容易く容量豊かな単三電池を採用し、ファイル検索に便利な大型の液晶、直感的な操作を実現するジョグスイッチに、3つのボタンスイッチ。
音楽プレーヤーとして、欠かせないこれら重要な点を省くことなく、実用的かつコンパクトにまとめた形がiriverの三角柱、プリズムスタイルなのだ。

そして、このプリズムスタイルは最新機種のT50でもほとんど形を変えることなく生き続け支持されている。
これは、MP3先進国韓国の、まさに現場で生まれた実用的かつタフなスタイルであり、的確なニーズをつかみ先見の明があったといえる。
このスタイルはiriver製品以外でも多く採用され、典型的なMP3プレーヤーの姿となった。

最近の主流は大型液晶を搭載し、動画再生にも対応した多機能プレーヤーだが、こうした音楽再生に特化したモデルも
この先ずっと生き残っていくだろう。

プリズムスタイルの優れた点を挙げておこう。

1、単三乾電池 
最大の特徴はこれだろう。 音楽を気持ちよく聴いていたのに、電池切れ。そんなときでも単三電池はどこでも手に入れられる。
充電池も使えるので、複数の電池を使いまわせば、電池切れで悔しい思いをすることは無くなる。 充電池の劣化を心配する必要もない。

2、大型液晶
MP3プレーヤーは大量の曲を扱うことになる。この大量のファイルをストレス無く手早く検索するには、少しでも情報量の多い液晶が不可欠だ。

3、ジョグスイッチ

大型液晶と組み合わせて、多くのファイル、フォルダの階層を自由自在に、直感的に操作するには縦横の十字キーが必須だ。
クリックとあわせて、5方向の操作(と長押し)を兼ね備えており、指先ひとつで多彩な操作を可能にする。

逆に、プリズムスタイルの欠点といえば、やはり乾電池を使う故の、厚みだろうか。
形が自由にできる充電池タイプとは違い、やはり乾電池の厚みよりは当然厚みが出る。

それでは、T50の話に戻ろう。

機能面についてはT10のコラム等を参考にしてほしい。
T10との違いはSRS WOW HDに対応している点だ。
それ以外は特にT10から良くなった点も悪くなった点もない。
SRS WOW HDに対応したからといって、音が良くなった!という物ではないが、カスタマイズの枠が広がるのは良いことだろう。
HDについても評判は良いようなので、自分好みに徹底的にカスタマイズしてみるのも楽しいのではないだろうか。

iriver plus3が付属するが、UMSに対応しているので、マイコンピュータからD&Dで曲転送が可能だ。
最近主流のタグ管理タイプではなく、フォルダ管理タイプ。 1GBの容量ならフォルダ管理のほうが手軽で良いだろう。

音楽再生ではA-Bリピートや、学習機能、速度調整(ピッチも変わる)歌詞表示にも対応している。
ジャケット表示やギャップレス再生はできない。

ボイス録音、予約録音も可能なFMチューナーなどももちろん健在。
あまり有用ではないかもしれないが、BMP画像の表示にも対応する。
テキスト表示には対応しない。(歌詞タグの表示は可能)

MTPファームも用意されており、napsterの認証も近いうちに取れるだろう。

細部を見ていこう。

デザインはプリズムスタイルを強調し、さらに最近のClix等のiriverデザインにつながるシンプル、ソリッドなデザインになっている。
iFP-100シリーズを現代風にリメイクしたという感じだろう。
全体にストライプ状にシボが入っており、この辺はvodafoneのデザイン携帯のnudioからの影響を受けたのであろう。

前機種のT10は形状、カラーリングともにスポーティーで特徴的なデザインで、T50はどちらかというと真逆のデザインコンセプトといえるので、 T10のデザインが好きだった人には、T50は物足りなく感じるかもしれない。
チープという意見が大勢だが、チープさをうまく生かしたデザインでもある。
ホワイトモデルはつやありで、ブラックよりチープな感じは少ないかもしれない。

電池が入ってない状態では、本当に軽く中身が入っていないようにも感じる。
三角柱の形状とストライプ状のシボによってグリップ感は非常に良い。
またこのシボにより、つやあり素材でありながら、液晶部以外は指紋が気にならないという利点がある。

内容物は必要最低限。 CDは8cmタイプ イヤホンは左右対称のY時タイプ
シンプルなプリズムスタイル。カラー液晶にジョグスイッチ 左サイド
右サイド  上部、底部は少しくぼんでいる。
イヤホン端子は中央。 後ろにストラップ穴。

T10で一番特徴的だったのが、フックだったが、T50ではシンプルなストラップ穴になった。
この手のプレーヤーは十分コンパクトになっており、これ以上薄くなったり小さくなったりしても、さほど利便性は変わらないように感じる。
どちらかというと、携帯性の良さが重要で、その点T10プラス専用カラビナというのは、使いやすく便利だった。
その辺りのコンセプトが、T50で生かされなかったのは残念だ。

ジョグスイッチ

T10ではプッシュ式だったが、T50ではスティック式のジョグボタンに戻った。
スティック頭も球状でシンプルだが指のかかりは悪くない。
iFPのときのジョグとは部品レベルで変わっており、上下左右のカチッとした感じが少ない。
iFPのジョグに慣れている人は、違和感を感じるかもしれない。
感度が悪いわけではないので、慣れの問題だろう。

USB蓋は千切れない構造。 ボタンは凹凸が少なく、小さめ。

基本的なボタンレイアウトはT10と変わらない。
ただ、T10はボタン部が盛り上がっていたが、T50ではほぼ平坦になっており、多少手探りでは操作しづらい感じもある。
ただ、誤操作は少ないので一長一短だ。

ホールドボタン。

T10は十字キーを囲むようにホールドスイッチが配されていたが、T50ではサイドに戻された。
3つボタン同様、出っ張りが少ないので、爪で引っ掛けるようにしないと操作しづらい感じだ。

電池蓋

電池蓋はiriverが苦労してきたところだ。 開きやすく交換しやすいということは、不意に開いてしまうということにつながり兼ねないわけで、T10はこれでもかというほど、厳重な仕組みになっていて、今までの苦労を物語っていた。
T50はそつなくシンプルな仕組み。 構造上不意に外れることはないだろう。 ただ、完全に取り外せるのでなくさないよう注意が必要だ。

T10の後継機種といわれると、容量や機能の改善等物足りない感は強い。
しかし初心者向けの入門機と位置づけると、T10レベルの機能を保てたのは評価できるだろう。
廉価モデルといえばもっと安い製品はたくさんあるが、結局安かろう悪かろうで使い勝手が犠牲にされている場合が多い。
その点T50の実用性、タフさというのはT10をはじめ今までのプレーヤーで実証済みだ。

最初は単三電池式は厚みがなあと思うかもしれないが、一度この便利さに慣れてしまうと充電タイプには戻れなくなってしまうかもしれない。

また、今回初めてミヤビックスのオーバーレイ・ブリリアントシリーズの液晶保護シートを試すことができた。
液晶保護シートというと、なんだか空気がはいったり、あまり良いイメージが無くそのまま使っていたのだが、液晶保護シートもここまで進化
していたのかと感心してしまった。
厚めのシートで空気を入れるほうが難しいくらい貼るのが簡単。 貼った後は透明度が高く、形状がぴったりに作られているので、
貼っているのかどうかわからないくらいだ。

この液晶保護シートがあればT50をよりタフに使いこなすことができるだろう。