SDカードスロット搭載のシンプルプレーヤー コストパフォーマンス抜群!語学学習にも最適? エムピオジャパン 「FY800」 レビュー 発売日2006年11月上旬 直販価格 1GB 6980円 2GB 9980円 |
■mpioという大人の選択 |
昨今のMP3プレーヤーは大型のカラーディスプレイを搭載し、動画に対応したハイエンド機が主流だ。 しかしそこは音楽プレーヤー。動画なんて必要ないし、カラーディスプレイも必要ない。普通に音楽が聴ければ良い、それが低価格なら直良いと、激安プレーヤーに手を出そうと思ってる人、その前にちょっとこのプレーヤーを見てもらいたい。 MP3プレーヤーといえどピンキリ、安価なプレーヤーはやはりそれなりで、だましだまし使いながら、結局は無駄な買い物になることが多い。 いろんなプレーヤーに手を出してきた筆者の感想だ。 今回は直販サイトで2GBモデルが9980円と1万円を切る価格で、前々から気になっていたmpioのFY800を試してみた。 老舗の作る廉価モデルは、他の激安プレーヤーとは一線を画す使えるプレーヤーに仕上がっていた。 デザイン、機能、音質とどれをとっても価格以上の上質な廉価モデルを詳しくレビューしていきたいと思う。 |
韓国のMP3プレーヤーの古豪、mpioにとっても、MP3プレーヤー業界の競争激化の影響は大きく、他社と同様に、mpioも自らの生きる道を模索せざるを得なかった。 高性能、高機能だけでは買ってもらえない。そこでmpioはコストパフォーマンスに優れる低価格プレーヤーにシフトしてきたようだ。 コストはダウンする、しかしプレーヤーとしての使い勝手は落とさない。 どの機能を削るか? チップ性能はどこまで落として大丈夫なのか? 操作性の維持、どこにコストをかけるべきか等、高性能プレーヤーを作る力のあるメーカーだからできるコストダウンの技術というものがあるのだ。 今回紹介するFY800シリーズはその第一世代目といってもよいプレーヤーだろう。さて、この低価格で機能や使い勝手はどこまで維持されているのだろう。 またどのような人にお勧めできるのか、その辺りに注目しながらレビューしていきたい。 |
■特徴 |
・重要な機能はきっちりカバー FM ボイス録音 SDカード対応がうれしい |
FY800はシンプル設計のプレーヤーだが、使用頻度の多い機能はきちんと押さえられている。 音楽再生はもちろん、録音もできるFMチューナー、会議などを録音できるボイスレコーダー。 また、SDカードスロットがついているのがFY800の特徴で、2GBまでのSDカードに対応している。 |
・語学学習向けの機能が充実した音楽再生 |
FY800を語学学習向けに検討している人も多いと思う。多くのファイルを収納でき、小型のMP3プレーヤーは、最近語学学習用にも注目されている。 FY800はmpio得意の再生速度調整に対応している。 MP3ファイル、または本体で録音したファイルに適用され、50%から200%まで7段階で設定できる。 また、その際にピッチが変わらないのがmpioの再生速度調整の特徴で、他社製品にはなかなかない長所だ。 ピッチが変わらないため速度調整しても非常に聞き取りやすい。 この機能は語学学習用に検討している人には外せない大事な点だ。 他にも、A地点からB地点までの任意の範囲を繰り返し再生するA-Bリピート機能も搭載している。 会話の中のワンフレーズを集中的に覚えたい時などに重宝する。 |
・PCとの接続、転送はドラッグアンドドロップでOK |
FY800はPCに接続するとリムーバブルディスクとして認識される。 転送はそこにファイルやフォルダをコピーしてあげるだけでよい。専用のソフトは必要としない。 音楽ファイル以外のファイルの持ち運びにも使えるし、音楽ファイルをPCに再度取り出すことも可能だ。 本体で録音したファイルも同様にPC上に取り出すことができる。 本体での管理形式はフォルダ管理形式。 エクスプローラライクの操作で任意のファイルへ簡単にアクセス可能だ。 MTPでの接続にも対応していて、接続時に簡単に接続方法を切り替えることができる。 今の日本でMTP対応の利点はnapster対応が大きいと思うが、認証は取れていないようなので、使えたとしてもサポート外という形だろう。(未確認) |
・分かり易くシンプルな操作性 |
液晶は4行の白黒液晶。 曲選択時に情報量が多く見やすい。 操作の中心はプレーヤー中央の円状に配置された四方向+クリックのボタン郡。 縦横の十字の操作がGUIと連携しており直感的に操作ができる。 電源on/offおよび再生停止ボタンは中央左、ナビゲーションや設定に使うMボタンは中央右、ワンクリックで録音開始可能な録音ボタンは、中央下に配置され、ボタン類は前面にまとめられている。 |
■パッケージ |
箱の大きさは、最近のプレーヤーとしてはやや大きめだろうか。青と黒を基調としたさわやかなデザインだ。 | 外装はスリーブ状になっており、2重に大事に仕舞われている。 |
■デザイン |
ブラックとシルバーを基調としたシックなデザイン。 |
背面は金属製。 |
左サイドにはUSB端子。 プラスチックのカバーで保護されている。 | 右サイドにはホールドスイッチ。 ホールドスイッチから覗く穴はリセットスイッチだ。 | 上部はSDカードスロット。 スロット蓋はプラスチック。 | 底部にイヤホンジャックとストラップ用穴。 |
・シックなデザインは使う人も場所も選ばない |
mpioでいつも感心するのがデザインだ。 シンプルで嫌味のないデザイン。 それでいて独特な魅力を持ち合わせている。 カラーバリエーションはブラックのみ。 液晶面がブラック、背面はシルバーのツートンカラーになっている。 |
・文字が白く浮かび上がるネガティブ表示ディスプレイ&綺麗な日本語表示 |
FY800はモノクロの液晶を採用している。 またネガティブ表示になっており、黒バックに白い文字が浮かび上がるようにしている。 |
■機能 |
起動時間は保存されているファイル数等によるが、5秒から10秒程度。 起動したら自動で音楽再生をはじめる設定も可能。 | フォルダ管理タイプ。サブフォルダにも対応しており、エクスプローラライクに楽曲の検索ができる。操作のレスポンスは良好。 | 検索時はファイル名が表示され、長いファイル名はスクロールする。 表示順はディレクトリエントリ順。 | 再生画面。 左下部の表示は他に、ステータスバー、ファイル種類+ビットレートの3種類から選択できる。 | 曲名の表示は、タグの他、ファイル名での表示も行える。 タグ表示にした場合は、曲名→歌手名→アルバム名の順で表示される。 | 上段の表示は、曲番号、イコライザ、再生モード、本体メモリの再生であることを意味しており、右上には電池残量の表示がされる。 |
・転送はドラッグアンドドロップ、わずらわしい専用ソフトは不要 |
FY800はUMSに対応している。 PCに接続すればリムーバブルディスクとして認識されるので、そこにファイルをコピーすればOKだ。 |
・レスポンス良好、円形キーでシンプル操作 |
操作はいたってシンプルだ。 起動は再生ボタン。 起動自体は長押しでなくても可能で、終了は長押しが必要となる。 |
・自然で好印象のサウンド |
FY800にはこれといったサウンド技術は費やされていない。 スペック的にもヘッドホン出力など非力に見える。 しかし、実際の音はというと、派手さはないが、とても自然で素直な音を出してくれる。 ホワイトノイズも特に気にならないだろう。 音質というのは人それぞれの感じ方があるし、慣れもあるので、一般的にいい音とされるものでも意見が割れたりするものなのだが、FY800の音色は万人に受け入れられるのではないだろうか? そんな印象を受けた。 プリセットイコライザはノーマル、ポップ、ロック、ジャズ、クラシック、ボーカル、ベースの七種類。 他に5バンドで任意に設定できるユーザーイコライザがある。 サラウンド系の機能は無い。 バンドルイヤホンは、センハイザーのMX300,400辺りに形状、音質ともに近いものを感じる。 バンドルとしてはそこそこの音質だ。 音質向上を考えるならば、イヤホン変更が手っ取り早いだろう。 再生モードはノーマル、リピート1、リピートオール、ランダム、ディレクトリノーマル、ディレクトリリピート、ディレクトリランダムの7種類。 ディレクトリ、つまりフォルダ内リピートも可能だ。 この際フォルダ内にサブフォルダが含まれる場合はその中のファイルは含まれない。 |
・実用的な語学学習関連機能 |
語学学習向けにFY800を検討している人も多いだろう。 |
・内蔵充電池で12時間の連続再生 |
電池は内蔵のリチウムバッテリー。 充電はPCからUSB経由で行う。 実際の使い方なら連続再生時間は8時間程度といったところだろうか、再生時間としては最低限度といえる。 小まめに充電しておくのがよいだろう。 サポート外かもしれないがAC-USBアダプタでコンセントから充電することも可能だった。 その際もPC接続モードとなってしまうため、充電しながら再生はできない。 |
録音可能なFMチューナー | FM再生画面、局名は表示不可 |
1ボタンで録音開始 | ワールドワイド対応 | ステレオ受信可能 | 録音音質は3段階 |
■FMチューナー |
・ 感度は良好、録音はおまけ? |
FY800はFMチューナーも標準装備している。 FMモードにするには音楽再生モード時に円中央のボタンを長押しすることで切り替わる。 電源を切った後はまた音楽モードに戻り、FMモードは維持されない。 イヤホンコードをアンテナとしており、日本以外にワールドワイドな周波帯に対応している。 (初期設定は日本になっていないので、設定から日本に設定する必要がある。) FMの受信感度は環境によるものが多く、一概には言えない。 また据え置き機や専用のラジオ端末には構造上劣ってしまう。 比較的、信号の入りやすい筆者の環境で試したところ、感度は悪くなく、主要局はかなりクリアに聞き取れた。 ADPCM WAV形式での録音にも対応しており、録音ボタンを押すだけで録音可能になる。 しかし、録音したものは最高品質でも劣化が大きいので、音楽などの録音には向かない。 情報をメモする程度なら十分使えるだろう。 録音されたファイルはルート上のRECORDフォルダに保存される。FM001.WAVのような連番が振られる。 PC上に移動も可能。 またSDカードモードのときはSDカード上SDRECORDフォルダが自動生成され、そこに保存される。 ステレオ、モノ切り替え、オートプリセット、チャンネル保存にも対応している。 予約録音には対応しない。 |
1ボタンで即録音開始 | 3段階の品質設定 | ゲイン調整可能 | 無音を認識して録音を一時停止する機能も |
■ボイス録音 |
・手軽なボイスメモに最適 すばやい録音が便利 |
ボイス録音は手軽にすばやくが重視された設計になっている。 特にボイス録音モードというものはなく、音楽再生モードの停止中に録音ボタンを押せば即録音モードとなり録音が開始される。 音質は3段階から選べ、ADPCM WAV形式で録音される。 音声増幅機能があり、たとえば遠いところの音を拾いたい場合などは高に設定するとよいだろう。 (全体の品質は下がる。) 音声感知機能は無音時に録音を停止し、音声を認識すると再度録音を開始する機能だ。 どの程度の音を無音にするかの設定は、数字ではなく具体的なシーンになっている。 最適な設定を試してみて、録りこぼしが心配ならオフにしておいたほうがよいだろう。 音質はそこそこ。 自分のボイスメモや会議等の音声を録音するのには十分使える品質だと感じた。 RECORDフォルダに、VOICE001.WAVのような連番で保存される。 録音したファイルは再生速度調整も可能で、PCに移動もできる。 SDカードモードの際はルート上にSDRECORDフォルダが生成され、同様に保存される。 外付けマイク等には対応しない。 |
■SDカード |
・本体とSDカードは完全切り替え式 使い用によっては便利かも? |
FY800の大きな特徴がSDカード対応だ。 SDカードは現在非常に安価で手に入るので、非常にありがたい。
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■まとめ |
・デザイン、機能、音質、すべてで価格以上。 いい買い物したと言える、初心者、サブ機にお勧めの使える廉価プレーヤーの本命!? |
FY800は誰もが良い買い物をしたといえるコストパフォーマンスを備えたプレーヤーだ。 音楽再生はもちろん、語学学習用としても活躍してくれるだろう。 シックなデザインはどこに出しても恥ずかしくない。 あまったSDカードの有用な使い道にもなるだろう。 弱点といえば電池持ちの少なさだろうか。 その点はコンパクトなんでしょうがないところでもある。 簡単なプレイリスト機能があれば便利だった。 また、筆者が確認したところでは、音楽ファイル検索時、たまに操作が反応しない時があった。 長いファイルのスクロール開始時だろうか。 もう一回試してみると、普通だったりして再現性がなく、特に気になるほどではない。 MP3入門機から2代目のサブ機、バリバリのメイン機としても十分使えるお得なプレーヤーだ。 ぜひ検討してみてはどうだろう。 |
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Review by harp |
harp:MP3プレーヤーオタクのアマチュアライター。 |